さて、先日相談に来られた女性の方が、次のような質問をされました。
「ある大手の探偵社に相談したら、『当社は、どんな場面でも証拠が撮れるし、浮気相手から慰謝料を500万円取ることが可能です!』と言われたんですが、それって本当でしょうか?」
いまだにそんな事を言って契約を取ろうとしている探偵社がいることにガッカリしますが、初めて探偵社に依頼する方がほとんどなので、信じてしまう人もいるのだろうなぁとも思います。
先に結論から言いますが、「どんな場面でも証拠が撮れる」ことはありませんし、「浮気相手から慰謝料を500万円取る」ケースは、ほとんどありません。
01.探偵でも撮れない場面はある
テレビドラマや映画の世界では、不可能を可能にする探偵ですが、実際の探偵は出来ることに限りがあります。
調査対象者が警戒しているケースでは、ウロウロと逃げ回ったり人気のない場所に行ったりするので、無理に追いかけまわして調査が発覚することもあります。
そうなると、肝心の決定的な証拠を永遠に押さえられなくなります。
02.違法な調査は証拠にはならない
また、違法な方法によって手に入れた証拠は、証拠として認められないケースが多いです。
例えば、夫(妻)が不貞相手のマンションに出入りしていた場合、相手マンションの敷地内(エントランスや廊下などの共用部分も含む)に不法に入って撮影した写真は、まず証拠としては認められません。
昔に比べると、違法な調査で探偵が逮捕されるケースは少なくなりましたが、今でもそういったトラブルはあります。
(今回相談した探偵社のホームページにも「違法な調査は致しません」と書かれてあったそうですが…。)
03.不貞の慰謝料の相場は100万円~300万円程度
これも弁護士に相談したら分かりますが、実際の不貞の慰謝料請求で相手から取れる慰謝料の相場は、100万円~300万円程度です。
しかも、パートナーと離婚になるようなケースが300万円くらいで、離婚にならない場合は浮気相手から100万~150万円くらいが相場です。
これも100%取れるわけではなく、状況によっては慰謝料が取れないケースもあります。
確かに、これまでの依頼者で慰謝料を500万円以上、高くて3億円くらい(財産分与と合わせて)取ったという方もいましたが、ほんとにわずかです。
04.必ず「出来ないこと」を聞くこと!
探偵社に相談する時は「出来ないことはありますか?」や「撮影できない場面はありますか?」など、「出来ないこと」を質問することが大切です。
「出来ること」や「メリット」は、誰でもみんな得意になって話しますが、「出来ないこと」や「デメリット」は話したがりません。
しかし、上に簡単に書いただけでも「出来ないこと」はありますし、後から「こんなはずじゃ…。」ということはよくあります。
ですから、「メリット」だけではなく「デメリット」もしっかり伝えてくれる探偵社を選んでください。
これは探偵だけではなく、どんな商売でも同じですね。